オフィスの移転手続きと大まかな流れ

オフィス移転

オフィスの移転手続きでは、郵便局・消防署・法務局・税務署・年金事務所など、各所に必要書類を提出する必要があります。

オフィス移転の前後にも業務があるため、なるべく手続き上の不備やミスをなくして、スムーズにオフィスの移転を進めましょう。

オフィスの移転の手続きとは

オフィス移転手続きの多くは、住所地が変わることによる書類や届け出の再提出です。これらの手続きを移転前後にきっちりやっておかないと、新しいオフィスに移った後スムーズに業務を再開できません。

一般的な賃貸物件の引っ越しと違ってやることが多いので、取りこぼしがないように、

  • 移転前に必要な手続き
  • 移転後に必要な手続き
  • その他

の順で押さえていきましょう。

移転前の手続き

まずは、オフィスの移転開始前の手続きに必要な書類をご紹介します。

郵便物届出変更届

「郵便物届出変更届」は、旧オフィスに届いた郵便物を新オフィスへと転送してもらうために提出する書類のことです。届け出てから1年間転送してくれます。

提出方法は、旧オフィスで主に使っていた郵便局へ、

  • 郵便物届出変更届
  • 提出者がオフィスの関係者であることを証明する書類(社員証・健康保険証等)

を持っていくかたちになります。ちなみに、オンラインでの申請も可能です。

防火・防災管理者選任(解任)届出書

複数の人間が出入りするオフィスビルなどでは、火災が起きたときの被害を少しでも減らすため、防火責任者という人間を置く必要があります。すでに防火・防災管理者を置いている場合、または新たに防火・防災管理者が必要になる場合、消防署へ解任または専任の届出書を提出しなければなりません。

また、書類の提出時、防火・防災管理講習を修了していることを証明する手帳も必要になります。講習を受けていない場合は講習の申し込みも行いましょう。

なお、提出書類は正副の2部で、提出先は新オフィスを管轄している消防署です。

防火対象物工事等計画届出書

床から天井まであるパーティションを設置してレイアウトを変更したり、内装を大きく変更したりする場合に必要になります。提出先は、新オフィスを管轄している消防署です。

内装工事を一切行わずレイアウトを変更しない場合は不要ですが、提出する場合は以下の書類も添付します。

  • 防火対象物の概要表
  • 案内図
  • 平面図
  • 詳細図
  • 立面図
  • 断面図
  • 展開図
  • 室内仕上表及び建具表
  • 火気使用設備等又は火気使用器具等を設置する場合は、その位置、構造などの状況を示した図

内装工事をはじめる7日前までに提出しましょう。

消防計画作成(変更)届出書

新オフィスへ移転するにあたって、新しく避難経路や防火対策などを作成(または変更)する必要がある場合、消防計画作成(変更)届出書を消防署へ提出します。正副の2部を、新オフィスへ移転する7日前までに持っていきましょう。

書類の形式は消防署によって違うので、必ず新オフィスの管轄消防署へ問い合わせてください。

防火対象物使用開始届出書

「防火対象物工事等計画届出書」や「消防計画作成(変更)届出書」とは別に、新オフィスへの移転7日前までに提出する必要がある書類です。簡単にいえば、新オフィスの管轄消防署に対する引っ越しのご挨拶、防火対策の確認に関するお知らせとなります。

オフィスの概要図と、届出書の正副2部を提出しましょう。

移転後の手続き

オフィス移転後 手続き

つづいて、新オフィスへ移ってから行う手続きを解説します。

本店移転登記

いうまでもないことですが、「法人」を立ち上げるためには法務局での法人登記が必要不可欠です。登記には本店の住所地を登録しているため、オフィスを移転する場合は登記の変更手続きが求められます。

旧オフィスの管轄法務局へ、移転してから2週間以内に「本店移転登記申請書」を提出しましょう。なお、法務局の管轄内で移転する場合と、管轄外へ移転する場合で添付書類が変わってきます。申請書に添付する収入印紙も、管轄内なら3万円、管轄外なら6万円と金額が違うため、ご注意ください。

異動事項に関する届出

異動事項に関する届出は、旧オフィス・新オフィスそれぞれの管轄税務署へ提出する書類です。場合によっては、登記事項証明書や定款の写しなどを求められることもあります。

手数料はかからず、各税務署の窓口へ持っていくか、郵送、ないしインターネット上での手続きも可能です。

健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届

オフィスの移転時は、移転してから5日以内に旧オフィスの管轄年金事務所へ上記の書類を提出する必要があります。窓口へ持っていっても構いませんし、郵送や電子申請も可能です。添付書類は、「法人(商業)登記簿謄本のコピー」となります。

管轄内の移転か管轄外の移転かによって、提出書類が変わるので気をつけましょう。

労働保険名称、所在地変更届

新オフィスを管轄している労働基準監督署、またはハローワークへ提出する書類です。オフィスを移転してから10日以内に提出する必要があり、窓口持参や郵送のほかに、電子申請にも対応しています。

後で触れますが、「雇用保険事業所各種変更届」をハローワークへ提出する際、事前にこの書類を出しておく必要があるためなるべく早く提出しましょう。場合によっては新オフィスの賃貸借契約書の写しや、変更後の登記簿謄本の写しを求められることもあります。

労働保険関係成立届

新オフィスが県外にある場合、新しく事務所を開いたと判断されるため、労働保険の適用事務所であるという手続きを行わなければなりません。移転してから10日以内に提出します。

新オフィスを管轄している労働基準監督署へ、持参や郵送、または電子申請で提出しましょう。

労働保険保険料申告書

労働保険の保険料を納税・申告するための書類です。新オフィスの管轄労働基準監督署へ、移転してから10日以内に提出する必要があります。提出方法は、労働保険関係成立届等と同じく窓口持参・郵送・電子申請のどれかです。

雇用保険事業所各種変更届

労働保険に加入している場合、新オフィスを管轄するハローワーク(公共職業安定所)へオフィス移転の届け出をする必要があります。提出期限は移転後10日以内で、添付資料は登記事項証明書の写しと「労働保険名称、所在地等変更届」の写しです。

郵送での提出は受け付けていないため、窓口へ書類を持っていくか、電子申請をするかを選んで提出します。

その他の必要な手続き

ここまでご紹介してきたのは、オフィスの移転時に行政機関へ行う必須の手続きでした。ここからは、事業をするうえで必要となる各種手続きをご紹介します。

銀行口座

新オフィスへ移転したら、銀行口座の住所地変更も必要です。以下のものを持って銀行の窓口に行きましょう。

  • 通帳
  • 印鑑(口座のお届け印と社判)
  • 登記事項証明書(住所の変更をした後のもの)
  • 本人確認書類
  • オフィスの関係者であることを証明できる書類(社員証など)

基本的に窓口のみでの受付となり、時間もかかるため、段取りよく準備しておくことが大切です。

クレジットカード

法人用のクレジットカードは当然旧オフィスの住所地で登録されているため、オフィスを移転後には住所の変更手続きが必要です。

本人確認や必要書類の送付などあれこれ時間がかかるため、忘れないように手続きしなければなりません。住所地の変更方法はクレジットカード会社によって違うため、ホームページなどで確認しましょう。

社会保険以外の各種保険

以下の内容を調べて、各保険会社へ連絡しましょう。

  • 加入している保険の種類
  • 誰が加入しているのか
  • 各員の証券番号

クレジットカードの変更手続きと同様、本人確認や書類の送付などで時間がかかります。移転が決まって新オフィスの住所地がわかったら、早めに手続きするのがおすすめです。

インターネット、電話回線

以下のような、住所を登録しているサービスはすべて住所の変更手続きを行います。

  • オフィスで契約していたインターネット回線の解約
  • 新オフィスでのネット回線契約
  • 電話回線
  • オフィスで契約しているドメインや各種ネットサービス

とくにインターネット回線の解約と開通は、タイミングがずれると業務に支障が出てしまうため、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。

そのほか、社用車がある場合は警察署に「自動車保管場所証明申請書」を提出して車庫証明をもらったり、従業員の名刺を作り直したりする必要があります。インターネットなどで消耗品や事務用品を購入している場合、インターネットショッピングのサイトにログインして行うお届け先住所の変更も忘れずに。

基本的に、「登録時・申込時に旧オフィスの住所を登録したもの」は変更手続きが必要です。見落としがあると、思わぬところで連絡の行き違いなどのミスが生まれてしまいます。

新オフィスに移った後は新しい環境に慣れるまでに時間がかかることも予想されます。移転の話が決まったら、住所登録をした手続きや契約を一覧で書き出しておきましょう。

移転の流れ

オフィス移転 流れ

最後に、移転6ヵ月前から直前までの大まかなスケジュールを解説します。

移転6ヵ月前

法人契約で借りている旧オフィスの解約する場合、6ヵ月前までに通知するという契約になっていることが多いです。事前に管理会社に通知をしておいて、実際の解約手続きは移転先が決まってから行いましょう。

また、移転すると決めてから新オフィスで業務を再開するまでのスケジュールづくりを行うのもこの期間。余裕があればあるほど、新オフィスの物件をじっくり検討できます。

移転5ヵ月前

オフィス移転時には内装工事や引っ越し作業なども必要になるため、できれば移転の5ヵ月前を目安に新オフィスを契約しましょう。新オフィスの契約時は、登記簿謄本や会社案内の提出、新オフィスの管理者による信用調査なども必要になります。間取りや敷金・保証金の確認など、重要な点は必ず確認しておきましょう。

また、オフィスによっては、内装工事の業者が指定されていることもあります。移転する際は、内装工事などを含めた総額で比較するのがおすすめです。

移転3ヵ月~4ヵ月前

新オフィスの基本的なレイアウト(パーティションの追加や変更など)ができたら、新オフィスに入れる事務用品や電話などを用意します。また、オフィスの移転に関する案内や名刺の作成など、関係各所への連絡で必要となる書類やパンフレットも発注しておきましょう。発注が遅れると、オフィス移転の案内ができないので注意してください。

移転2ヵ月前

移転の2ヵ月前になったら、本格的に引っ越しの準備をはじめます。提出期限が限られている行政機関への提出書類を準備するほか、新オフィスではどういう配置でデスクを置くのか、どの部署がどこに移動するのかといった話し合いをしておくことも大切です。

また、移転の作業中でも業務に支障が出ないように、業務の締め切りやスケジュールなどを調整し、準備期間に余裕を持たせましょう。

移転1ヵ月前

移転の1ヵ月前になったら、引っ越し作業をはじめます。また、オフィスの移転に関する案内状を関係各所に送付しましょう。

仕事の進捗などによっては、ダンボールなどに梱包せず従業員が直接持って行ったほうがよいものも出てきます。荷物の梱包にも開封・設置作業にも時間がかかるため、できれば引っ越し作業をマニュアル化し、各従業員に配っておくと便利です。

事前準備がきっちりできていれば、大きな混乱や重要書類の紛失といったトラブルを避けられます。紛失すると困るものは持ち運ぶ人を決めた上で各個人が持ち運び、それ以外の荷物は内容ごとに番号を振って、どこに何があるか判別できるようにしておきましょう。

オフィスの移転手続きは綿密な事前準備が大切

オフィスの移転手続きでは、消防署への書類提出など、普段の業務ではまったく意識しない手続きをたくさん行います。荷物の梱包や開封作業だけでも膨大な時間がかかってしまうので、作業の度にいちいち手をとめ、どの手続きが必要になるのかを考えていてはいつまで経ってもオフィスを移転できません。

業務の停止期間を最小限にしつつ、スムーズに新しいオフィスへ移転するために必要なポイントは「綿密な事前準備」です。オフィスを移転する際は、移転日から逆算してどういう書類が必要になるのか、どんな手続きをするのか早めにチェックしておきましょう。

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